小児歯科

小児歯科について

 
ここでは子供の歯の特徴とムシ歯の予防法、その治療法についてわかりやすくご紹介します。
 
子供の歯の特徴
乳歯は永久歯に比べてやわらかく未発達なものです。そのため、永久歯よりもムシ歯に対して弱く、1度ムシ歯になってしまうと急速に進んでしまいます。
 
また、小児は長時間の治療に耐えられない、口が小さく治療用の器具が入りにくい、などの理由から治療も困難なものになります。そこで重要になってくるのが定期検診と予防なのです。
 

歯の名前とはえてくる順番

 
[ 乳歯 ]
下の歯も名前は上の歯と同じです。
読み方はそれぞれ
乳中切歯=にゅうちゅうせっし
乳側切歯=にゅうそくせっし
乳犬歯=にゅうけんし
第一乳臼歯=だいいちにゅうきゅうし
第二乳臼歯=だいににゅうきゅうし
です。
乳歯はほぼ前の方から順番にはえてきます。
 

 


[ 永久歯 ]
名前の読み方は乳歯とほぼ同じです。
永久歯はまず第一大臼歯と下の中切歯がほぼ同時期にはえてきます。
そのあとは前の方から順々にはえてきます。
そして、個人差はありますが13~15歳くらいまでには乳歯がすべて抜け永久歯がはえそろいます。
また、第三大臼歯(親知らず)は19歳から20歳くらいにはえてくることが多いです。
 

 

 
ムシ歯になりやすい場所
一本一本の歯の中にもムシ歯になりやすいところとなりにくいところがあります。ムシ歯になりやすいといわれているのが下の3つの場所です。これはどの歯にも共通して当てはまります。
1.噛む面の深い溝
噛む面の深い溝は歯ブラシではどうしてもきれいにできません。特にはえて間もない歯ではムシ歯になりやすいです。この部位のムシ歯はシーラントで防ぎましょう。
2.歯と歯の間
歯の間の汚れも歯ブラシではなかなか落とせません。デンタルフロスを使いましょう。
3.歯と歯ぐきの境目
この部分の汚れは歯ブラシで落とすことができます。丁寧なブラッシングを心がけましょう。
 

 
 

歯の交換と予防のポイント

 
▼ 0~3歳 ▼
この時期は乳歯が前の方から順々にはえてきます。
この時期の子供はほとんど歯を削ることに耐えられません。歯磨きと定期的なフッ素塗布を行いましょう。
予防法としてはフッ素塗布、歯磨き(お母さん、お父さん)が大切です。

▼ 4~5歳 ▼
乳歯がはえそろい第一大臼歯(6歳臼歯)がでてくるまでのこの時期は、特に第一乳臼歯と第二乳臼歯の間のムシ歯に気をつけましょう。デンタルフロスが効果的です。
また、咬む面の深い溝は早めにシーラントをした方が安心です。
歯磨きもそろそろ自分で始めましょう。仕上げ磨きはしてあげてください。
フッ素塗布も続けます。

▼ 6~7歳 ▼
第一大臼歯(6歳臼歯)がでてきます。乳歯同様早めにシーラントをしましょう。
またほぼ同じ時期に下、続いて上の前歯が順にでてきます。乳歯が抜ける前に永久歯が別のところからでてきているようであれば、その乳歯は抜く必要があります。注意して見てあげてください。
やはり奥歯の間はムシ歯になりやすいのでデンタルフロスを使いましょう。
フッ素塗布も続けます。

▼ 8~11歳 ▼
犬歯と小臼歯が順々に交換していきます。同様に早めにシーラントしましょう。やはり、乳歯が抜ける前に別の場所から永久歯が顔を出すようなら乳歯は抜く必要があります。

▼ 12歳以降 ▼
第二大臼歯が萌えてきます。6歳臼歯のさらに奥で歯ブラシが届きにくいので注意が必要です。特に気をつけて磨きましょう。他の歯と同様になるべく早くシーラントをした方が安心です。
親知らずがはえてくるのは成人になる前後ぐらいですが、もともと無い・あっても埋まったままでてこない、といったことが多いです。
 
●詳しくは→親知らずのページへ
※歯の交換の時期は標準的な年齢を示してあります。交換の時期には個人差があり多少早かったり遅かったりしても大きな問題となることは少ないです。
 
 

どんな予防法があるの?

 
【 主な予防法 】
ムシ歯に対する最も重要で、効果的な予防法は歯磨きであることは言うまでもありませんが、ここでは歯磨き以外の予防法についてご紹介します。
各人に合った歯磨きの仕方については担当医・担当衛生士にお尋ね下さい。

●フッ素
フッ素は歯を強くしてムシ歯を防ぎます。
また、ごく初期のムシ歯を健康な状態に戻すこともできます。
当院では定期検診の際、治療の最後に塗布するようにしています。
普段、フッ素入りの歯磨き粉を使用するのも効果的です。
 


●デンタルフロス
(糸磨き)
歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけではどうしても取り切れません。歯の間の汚れは歯ブラシの後デンタルフロスで落としましょう。
糸磨きはやや難しいので上手にできるようになるまでお母さん、お父さんがしてあげてください。
また、ホルダーに付いたタイプのものでも、清掃効果は変わりません。
 

 
- 使い方 -


●サホライド
できてしまったムシ歯の進行を止めるものなので厳密に言うと予防法ではないのですが、ここでご紹介します。
このサホライドはムシ歯を削って治すことに耐えられない子供の場合や交換期間近の乳歯のムシ歯で、抜けるまで進行を止めておきたい様な場合などに使っています。
この薬は塗った部分の歯を黒く着色させます。この着色はムシ歯ではないのでご安心下さい。
 
 

ムシ歯になってしまったら

 
ムシ歯にならないように予防することが最重要ですが、ここでは実際にムシ歯になってしまった際の治療法について簡単にご紹介します。

▼ 小さな初期のムシ歯 ▼
削って治す程のムシ歯ではない
    or
歯を削るのに耐えられない


削って治す必要がある
    and
歯を削るのに耐えられる


 
▼ 進行してしまった大きなムシ歯 ▼
神経まで到達していない


神経にまで達する大きなムシ歯
神経の治療をしたあと、乳歯冠をかぶせます。
 
 

虫歯以外に注意することは?

 
<歯肉炎>
 

 

歯の付け根に汚れが付いたままだと、この写真の様に歯茎が腫れ、出血しやすくなります。
このような歯肉炎は将来の歯槽膿漏の初期症状といわれています。
ムシ歯だけでなく歯茎の方も若いうちからきれいにしておくことを心がけましょう。
歯槽膿漏(歯周病)については
歯周病のページをご覧下さい。
 
<上唇小帯付着異常(じょうしんしょうたいふちゃくいじょう)>
 

 

歯肉から唇・頬にかけて数本見られるひだを小帯といいます。
とくに上の真ん中の小帯(上唇小帯)の位置に異常があると写真の様に前歯に隙間ができる原因となるので注意が必要です。
 
<指しゃぶり>
 

 

指しゃぶりをしている子は指にタコのようなものができることが多いです(下図)。これを続けていると上の図のように上下の歯に隙間ができてしまうこともあります。
 
<その他>
過剰歯:本来あるべき歯の以外に余分な歯があるもの。
歯の先天欠如:本来あるべき歯のうち1本または数本が欠如しているもの。
※上記2つはレントゲン写真を撮ってみなければわからないことが多いです。
歯並び:詳しくは矯正歯科のページをご覧下さい。
その他については担当医にご質問下さい。