小児矯正(矯正歯科専門外来)

小児矯正では成人矯正とは違う以下のような特徴があります。

１期治療（骨格の矯正）

将来の正しい歯並びや咬み合わせのために、まず”土台作り”を行う治療となります。顎の骨格のバランスを整えることは成長期にある子供だからこそ効果が得られる治療です。3〜12歳ごろが対象となります。治療期間は可及的に短くしたいですが、1年〜２年はかかることが多いです。
6歳前後に乳歯の奥から生えてくる、6歳臼歯といわれる奥歯を基準にして、正しい咬み合わせを作っていきます。これによって永久歯を抜かないで完了する可能性が高くなりますし、出っ歯や受け口の予防につながる場合もあります。

２期治療（永久歯の矯正）

1期治療によって顎の骨の大きさやバランスが整えられ、永久歯がきれいに生え揃う土台を作った所で、一本一本の歯を並べる2期治療を行います。治療期間は２年半程かかります。2期治療を行う年齢の目安は、通常、小学校の高学年から中学生以降から行います。
もし小児期に不適切な生え方をしそうな永久歯があっても、完全に生え終わって顎の成長が止まった段階で治療を始める方が、効果的です。

小児矯正で使う装置は、取り外しできる可撤（かてつ）式装置と、取り外しできない固定式装置があります。当院ではお子さまの年齢や症状に合わせ、装置をご提供します。

可撤式装置

歯列矯正用咬合誘導装置(マルチファミリー、ムーシールド)

マルチファミリーは、口腔周囲の筋肉に働きかけ、正しい舌の位置や歯並びの成長を促進します。この装置は、5歳から7歳までの子どもの前歯が永久歯に生え変わる時期に使用され、上顎前突の治療に効果があります。歯並びの悪化は、口呼吸や舌の癖、逆嚥下などの誤った筋機能によって引き起こされることがあります。マルチファミリーは、子どもの成長期における筋機能の習癖を修正する装置であり、舌の位置と機能を正常化し、鼻呼吸と正しい口腔周囲の筋肉の機能を促進することで、美しい歯並びを実現します。
ムーシールドは反対咬合に効果のある装置で、３歳以降のお子様に適応されることが多く、咬み合わせだけではなく、お口周りの筋肉トレーニングを行うことで、口呼吸の改善にも繋がります。柔らかい素材のムータンも開発され、お子様の負担も少なくすみます。ただし、反対咬合でも歯が原因のものは改善できますが、骨格性の反対咬合は改善できないのが現状です。

拡大床

拡大床とは、歯並びを整えるために使用される装置の一種です。この装置は、顎を徐々に広げて歯の配置にスペースを確保することができ、取り外し可能です。拡大床を用いることで、歯を抜く矯正治療が不要になる可能性もあります。代わりに、顎の自然な成長を活かせることで、お子様の負担を最小限に抑えながら、歯並びを美しく整えることができます。ただ、ご使用頂けないと全く効果が得られないのが、短所です。

固定式装置

ブラケット装置

歯1本ずつにブラケットという装置を取りつけ、歯列を整える装置です。小児矯正では一般的に2期治療で使用します。小児期の場合、永久歯の前歯だけ、または永久歯の前歯と6歳臼歯だけなど、部分的につけることが多くなります。

急速拡大装置

上顎の歯列を側方へ広げることで、できたスペースに歯を並べる装置です。装置のねじを回して強い力で歯列の幅を広げ、歯がきれいに並ぶためのスペースを作ります。